Hypnotherapy

ヒプノセラピーについて

催眠療法の歴史は実はとても古く、起源をたどれば紀元前3000年にも遡ります。古代エジプトにあった「眠りの寺院」では、僧侶が信者を眠りに誘導してから病気を治療する暗示をあたえていたという記録があります。また宗教的儀式のために用いられていたそうです。このとき僧侶が用いた手順が、いま私たちが行っている「催眠誘導」とよく似ており、これが紀元前500年頃ギリシャに伝わり、その百年後にはローマに伝わってローマ帝国内で継承されたそうです。

近代の催眠療法は、18世紀後半にオーストリアの医師フランツ・アントン・メスメルにより始められ、その後イギリスの医師ジェームス・ブレイドが1843年に生理学的視点から「神経睡眠学」という書物を著し、ギリシャ語の「睡眠」を意味するヒプノスHypnosから、現在使われている「催眠」ヒプノティズムHypnotismという言葉を考案しました。

1955年には英国医師会、1958年には米国医師会が催眠を有効の治療法として認めました。
1988年米国の精神科医ブライアン・L・ワイス博士が「前世療法」を出版し、催眠療法が一般の人々にも注目されはじめました。

顕在意識と潜在意識

私たちには、意識と無意識、顕在意識と潜在意識という二つの意識があると言われています。顕在意識は物事を論理的、分析的、合理的に考え、理性や知性、意思を司る部分で、わずか10%程度しか使っていません。潜在意識は非合理的で直感的、感情や感覚を司り90%を占めています。この潜在意識の深層部分は超意識とも呼ばれ、人類の進化のプロセスを記憶していたり、時空間を超えた存在の根源へと繋がるワンネス、集合的無意識の世界でもあります。

顕在意識と潜在意識の間には判断のフィルター(膜)のようなものがあり、それをクリティカルファクターといいます。簡単に外部からの刺激を取り込まないように自分を守っているのです。この膜は8~9歳くらいになるとでき上がると言われていますが、それ以前の幼少児は膜がない無防備な状態です。幼少児は理屈や理論でものごとを考える力がないうえに、判断の参照となる人生体験が少ないので暗示を受けやすいのです。外からの情報、教えられたことはなんでも受け入れ、信じ込みます。
その膜のない幼少の頃、私たちは生まれ育った環境からの影響で、その後の人生のすべてのよりどころとなるような感情的基盤を形成するといわれています。

8~9歳なって意識の膜ができ上がると判断力が発達してくるので、それまでの体験と感情を基準にして、外界の刺激(暗示)に対しも瞬時に入れていい情報か、信じていいことかを判断のフィルターが判別して、入れていいものは潜在意識へと送りこまれていきます。顕在意識が送りこんだものを潜在意識は受け入れます。反対に受け入れられない情報ははねのけることができます。こうして自己防衛ができるようになるのです。

その反面、膜ができてしまったがゆえに、幼い頃に植え込まれてしまったネガティブな暗示と心の傷跡は、出られない状態になっています。これが大人になってもずっと居続けるのです。例えば過去に傷ついた出来事を思い出し、「あの時はショックだったな、悲しかったな、怖かったな、淋しかったな……でも昔のことだから」と顕在意識では自分なりに消化し、解放したつもりになっていたとしても、実は膜の下の潜在意識の世界には時間という概念がありませんので、大人になっても今まだこの瞬間に生々しく傷ついた自分が存在し続けているものなのです。

その傷があまりにも深い場合、生きていく上で障害となり得る記憶を、自己防衛のために無意識的に消している人もいます。しかし本当に消えたわけではなく、潜在意識の深い部分では声をひそめて抑圧された状態で残っているのです。

つまり幼少のころに潜在意識に刻まれたものは、いいものも悪いものも含めて、何歳になっても自分と共にあり続けるのです。そしてこの思い込みこそが、人生に大きな影響を与えていきます。この子どものころに刻まれた記憶をインナーチャイルドといいます。
この潜在意識に取り残されたインナーチャイルドを、しっかりと見つけ出し、癒し、解放してあげることによって、自らに課せてきた限界を取り払い、本来の魂の輝きを取り戻し、無条件の愛に調和された生き方を実現していくことがスムーズになっていきます。

催眠への理解

私たちは一日に平均十数回、自然に催眠状態に入っています。考え事をしながら車の運転をしている時、本を読みながらその世界を思い描いている時、映画やテレビを見ながら登場人物に感情移入している時、熱中してスポーツをしている時など。催眠と聞くと、まるで操り人形のように相手の思うままにコントロールされてしまう、といった誤ったイメージを持たれる方が少なくありませんが、このように決して特別な状態ではないのです。催眠状態でもしっかりと意識はありますから、自分で自分をコントロールし、不具合な時はそれを拒否することができます。

催眠療法とは

顕在意識と潜在意識を分けている膜を、深いリラクセーションの中へと入れることにより人為的に取り払い、顕在意識と潜在意識が統合された催眠状態へと持っていきます。それは子どもと同じような無防備な状態です。そしてその催眠の特性(中に入りやす、確認しやすい、植え込みやすい)を利用して、暗示やイメージ(五感)を用いながら意識の変革や再構築を行っていくプロセスです。

催眠の間、脳と神経系は具体的な感覚的視覚で満たされていますが、その感覚的視覚は非常に本物と近いために、脳の中に刻み込まれます。これにより、実際に体験したことが無意識の記憶の中に組み込まれるのと全く同じ方法が引き起こされます。人がリラックスした状態にあると、その心はより簡単にイメージに適応し、暗示されたビジョンを本物として受け入れるのです。

退行療法というのは

今抱えている問題の原因がどこにあるのかを探り、それをプラスのイメージに書き換えていくわけです。潜在意識の中に、問題の原因が分かり、その問題の解決策が分かるという人智を超えた機能が備わっているのです。ですからセラピストの主観で無理やり都合よく書き換えるわけではなく、あくまでも被催眠者の中から直感的に浮かぶイメージを引き出していきます。

私たちの脳は、実際に私たちが経験してきた出来事と、潜在意識のイメージの中で見ているものとの区別ができないので、イメージの中で過去にさかのぼり、未解決だった出来事を解決し、ネガティブに植え込まれた経験をポジティブなイメージに書き換えていくことによって、潜在意識は満足するのです。「愛されていない」という記憶から、「私は愛されている」という新しい認識、新しい身体の感覚、新しい感情に書き換えることができます。つまり取り残されたインナーチャイルドをレスキューするということです。そうすることで、今の生き方、思考パターンというものを改善していくことができるのです。

人は自分の中に植え込まれているものによって苦しむのです。客観的事実がどうであれ、主観的にこうだと思い込んだものによって苦しんでいるのです。ですから、その「思い込み」をネガティブからポジティブに変換して、より豊かに創造的に生きられるように方向づけしていきます。

最近の脳科学では

また最近の脳科学では人の記憶というのは、もともとの経験や原形をとどめているわけではないと言われています。記憶とは、脳の中に記銘され、貯蔵され、想起されるという3つのプロセスからなっていますが、私たちが思い出し、想起するたびに、固定されていた記憶は不安定な状態になります。その思い出したときの価値観や見方、表現方法などによって新たな関連付けがなされ、再び貯蔵され固定されていくのです。
このようにして原初の記憶は、その骨組だけを残してたえず歪められていくものなのですが、それを利用して想起された記憶を再固定する際にプラスのイメージに塗り替えていくのです。

クライアントの中にすべての答えがある

潜在意識へ入れば、ご本人が自分を癒すべく一番いい方法を知っており、それを行っていきます。潜在意識は万能です。本人の精神性のレベルも許容範囲も心得ていますので、無理なことはしないのです。受け取れないものは与えないのです。
セラピストはそのことを信頼し、クライアントの一歩一歩を尊重し、それに寄り添い、励まし、希望と期待感を抱かせながら、愛と慈愛の視線で見守っていきます。

私たちはみな「思いこみ」によって苦しんでいます。信じたことは現実を創りだします。思い込みの色眼鏡が現実をそのように色づけして解釈し、またその通りに相手を演じさせ、経験を繰り返すのです。繰り返す経験はさらに信念を強化していきます。この悪循環からなかなか抜け出せなくなっているのです。
私は金運がない。男運が悪い。どうせ思い通りの仕事にはつけない。これが現実なんだ。人前でうまく喋れない。人間関係がうまくいかない。虚弱体質で健康にはなれない。子どもを愛せない。・・・実に様々な思い込みで自分自身をがんじがらめにしているものです。その思いこみ、いつ作り上げたか自覚はありますか?なかなか気づけない深層に原因が隠れていたりするのです。ですから、顕在意識ではなかなか気づけない領域へ催眠を利用して退行し、その信念体系を作り上げた原点へとさかのぼり、書き換えることにより「思いこみ」が変わり、引き寄せる現実が変わってくるのです。
自分の人生のシナリオライターは自分自身です。

人と人を結ぶ絆

人は「愛すること」「愛されること」、そして「繋がり」を失うと衰弱していきます。この繋がりの基盤こそが母子関係なのです。赤ん坊のころの母親とのスキンシップから得られる無条件の愛と、幼少期の健全なコミュニケーションによる体験は、その後の人生において、人間関係、環境、社会、世界との繋がりを健全なものとして受け入れられるようになっていきます。そのためには絶対になくてはならないものなのです。
しかし、過去生きてきた環境、経験がいかなるものであっても、私たちにはそれを克服する力を持っています。まずは自分自身を「救いたい」と思っているかどうかです。

健全な関係性を築ける自分自身を再構築していくために、ヒプノセラピーがとても大きな助けとなります。

まずは自分自身とのコミュニケーションからです。潜在意識と顕在意識に矛盾を抱えず調和されると、外界とのコミュニケーションも健全なものになっていきます。ヒプノセラピーは自己とのコミュニケーションのツールです。そして催眠によって潜在意識をオープンにすることで、人は互いに深い繋がりと一体感を感じられるようになっていきます。すべては一つに繋がっているということを真から理解できるようになるのです。そして外界は、あくまでも自分の写し鏡であるということにも気づきはじめます。

Page Topへ